中学受験 : 目的と手段を間違えてはならない


※リンク先はダイヤモンドオンラインの記事

現役の塾屋のはしくれとして。

こちらの記事、中学受験に関する様々なアドバイスをされている(もちろん指導もされている)著名な「きょうこ先生」によるものです。良いことが書かれていますし、大切なことに触れられています。

ただ、読み方によってはタイトルの通り、目的と手段を勘違いしてとらえてしまう人がいる怖さを理解しなければなりません。これは書く人の問題ではなく、受け取る側の(悪いという意味ではなく)問題です。

 


 

この記事では、最初の方に「思考を整理して・・・」とちゃんと『ノートが大切な理由(=その記事を書いた理由)』が書かれているのですが、ここを読み飛ばしてしまうと「丁寧に書くこと」「濃く書くこと」「ちゃんとした筆記用具が大切」とかそういう「手段」の方を大切に感じてしまいます。理由は簡単で「それは手っ取り早くわかりやすいから」です。(失礼ながら)こういう記事を頼る親は、中学受験を経験していないか、中学受験でうまくいかなかった人たちだと思います。そういう親には(以下に詳しく書きますが)「どうやったら学力があがるのか」のエッセンスが備わっていない可能性が高い。だから中学受験で取り扱われるような問題たちとの向き合い方はわからない・・・からこそ、わかりやすい「鉛筆が、消しゴムが、濃い時が・・・」というようなところに引っ張られてしまう可能性が高い、ということになります。

例えば、これは「風が吹けば桶屋が儲かる」の話に似ています。「風が吹けば桶屋が儲かる」、とこの部分だけを言われても何のことやらわかりませんが、その途中にもっともらしい理屈がついてくるのがこの話ですよね。

  • 風が吹くとほこりがたくさん飛ぶ
  • ほこりが人の目に入って失明する人が増える
  • 失明する人が増えると琵琶法師が増える
  • 琵琶法師は三味線を使うから三味線がたくさん必要になる
  • 三味線を作るにはたくさんの猫の皮が必要になる
  • 猫がたくさん捕まえられるから、ねずみが減らなくなる(増える)
  • ねずみが増えるとおけをかじって穴をあけられてしまうことが増える
  • だから桶屋が儲かる

確かこんな話だったと思います。こういう話をすると全て屁理屈でしかないのですが「なんかよくわからないけど凄い、確かに成り立っているように聞こえる、なるほど!!」となって信じてしまうような人が出てくる、ということを皮肉った表現だと思っています。

今回の場合は、「『良い筆記用具を使うと成績が上がる』というのが間違った解釈」ですね。

 

この先生の言うことを間違って捉えて「子供に良い鉛筆を持たせました」「子供に良い消しゴムを持たせました」「濃い鉛筆を持たせました」「丁寧な字でノートを書かせました」とやらせたとします。子供にやらせたとしてそこに学力があがるために必要な要素はないです。ちゃんとしたものを持たせることなんかより、まずもって大切なことは「考えること」であったり「考えることに向かう気持ちを整えること(興味を持たせること)」であったり、そちらの方を最初に整えなければならないのは間違いありません。考えることが好き、問題を解くことが好き、多少難しい問題にぶち当たってもあきらめずに考える、間違えたとしてもそこで終わらせずにもう一度やってみる・・・そんな姿勢を作ってあげることです。そういった姿勢ができてから、やることはやっているのになかなか成績が上がらない、なぜだろう・・・という時に見落としているエッセンスの中に「鉛筆」やら「消しゴム」やら、この記事で指摘されているものが隠れているかもしれませんよ、というようにとらえることが大切ですね。

他にもいろいろとあります。

  • 正しい姿勢でいるようにする(座る姿勢、机に向かう姿勢など)
  • 必ず読書をさせる
  • ゲームの時間を制限する

などなど。いずれも重要な要素かもしれませんが、私はそれらが学力を上げる最重要な要素ではないと思っています。姿勢が悪くても学力が高い人はたくさんいますね。読書をしていなくても学力が高い人もたくさんいます(あるタイミングからは読書は必須になりますが、それは共用するものではないですよね、という意味です)。ゲームは、むしろ制限しないといけないほどに学ぶことに興味がない状態の子供に学習を強要することの方が問題で、そんなのうまくいくはずがありません。ゲームも楽しいけど学ぶことも楽しいとか、ゲーム以上に学ぶことが楽しい、という状態にしてあげる、という視点を持つべきでしょう。

 

繰り返しますが、良い鉛筆をもって良い消しゴムをもって濃い字を書けるようになっても学力が上がることにはつながりません。まずはなぜ?なに?といったことを考えることが好きになって、その答えにたどり着くことに喜びを感じられるようにしてあげることから始めませんか。

コメントを残す