令和8年度公立高校入試

さて、2025年10月24日金曜、新潟県の教育庁>高等学校教育課のWebサイトに令和8年度公立高校入試の各種情報が一斉に掲載されましたので見ていきましょう。

 

 

  1. 新潟高校普通科が1クラス減ります
    ⇨これはですね、間違いなく少子化の影響ではあるわけです。新潟市内の子供の数が減っている。ただ、普通に考えれば倍率が高くて人気のある学校の定員を減らすのではなくて、倍率が低くて人気のない学校の定員を減らすべきではないか・・・となるのかもしれませんが、想像するに新潟高校を目指して勉強を頑張ることは良いことかもしれませんが、それにより遠方からはるばる1時間も2時間もの時間をかけて新潟高校に通う傾向が強くなっていることを関係者が危惧している・・・あまり良いことではないと思っているのかもしれません
     
    それぞれの地域にはそのエリアでより大学入試に向けた学習に力を入れている高校があります。主には「普通科」と呼ばれる学科が進学を目指した学習を進める学科ではあると思いますが、その中でも旧学区制における最難関高校である新発田、新潟、三条、長岡、高田の5つに加えて約6割以上の生徒が国公立大学に合格する新潟南あたりはまさに大学受験を目指す子供たちにとっては最適な選択肢といえます。それぞれの地域に適切な選択肢があるにも関わらず、県内最難関である新潟高校は(本来は新潟市内にある新潟市内の生徒向けの高校であるにもかかわらず)新潟市街からの受験生も多く、時間をかけて新潟市外から新潟高校まで通っている生徒がどれくらいいるかというと理数科の4人に1人=20~25%は新潟市街からの通学者となっているのが現状。結果として(大学の合格実績から見て取る限り)それぞれのエリアにある最難関高校の学力は低下してしまっており、言い換えれば新潟高校が過剰な人気になってしまっているといえます。(特に新潟高校の理数科だけは毎年2倍前後という高倍率になっていることからも想像がつきます)
     
    とはいえ、高校合格の先にある大学受験は非常に困難さを伴うものなので・・・大学受験に限りませんが、小・中・高の12年間という果てしなく長い期間を高いレベルで学習を継続するのは大変な困難が伴います。「頑張って勉強をする」ことを12年間継続するよりも、「やることが当たり前の環境」というところで(無意識のうちに)皆で支えあって努力を積み重ねられる環境の方が遥かに継続しやすいということができます(もちろんそれも一歩間違えば過剰な努力を求められてしまうリスクを伴いますが)。
     
    そのように考えると、新潟高校を含めて「努力をするのが当たり前である人たちが集まっている環境」というものは、大学進学を考えたときに最優先の選択肢として挙がってくるのは当然でもあるわけです。その意味では新潟高校が過剰な人気になってしまうことも理解できます。一方、それぞれの地域で「当たり前に努力ができる人たち」がいるにも拘らず、彼ら・彼女らがその地域からいなくなるわけで、それは言い換えれば、新潟高校が通学・進学の選択肢に入ってしまうエリアの新発田・長岡・三条からその学校・学年を引っ張ってくれるような存在がいなくなるとも言え、それはつまりそのような環境ではより努力をしづらい状況になってしまう・・・という悪循環に陥ることは想像に難くありません。
     
    とはいえ、そこで教育庁が「それぞれの地域に良い高校があるからそこで頑張りましょう! 通学時間がかからないのもよいことですよ! 地域の貢献にもつながります!」と叫んだところでそれは効果が出るわけはありません。だって皆さんより良い環境であるはずの新潟高校に行きたいんですもの。ですからそんな効果のないメッセージを出すのではなく、人気が集中している新潟高校の定員を減らし、そこに届かないのであればそれぞれの地域の最難関高校でその学校の雰囲気をリードしてもらいつつより高みを目指して頑張ってくださいね・・・という仕組みにしてしまった方が早い、という判断をしたのではないかと想像します。あなたたちなら新潟高校に来なくても勉強(努力)できますよね?という。
     
    では果たしてそれが狙い通りの動きになるかといえば否でしょうね。なんなら新潟県の学力は全体的に低下するでしょう。なぜなら、新潟高校に手が届かないと分かった人たちはどうするか・・・一定程度は地元の最難関高校の受験に舵を切るのでしょう(例えば長岡エリアの人にとっての長岡高校)が、次の選択肢としては(三条や新発田よりは大学合格実績が高い)新潟市の新潟南高校が選択肢に入りますね。そして次に新潟明訓高校が選択肢に入ります。結果として新発田と三条あたりには高い学力の生徒は戻らないのではないかと思うからです。一方、首都圏など大都市部では、私立高校や中高一貫校をはじめとして「大学受験に良い環境(より過酷な競争環境とも言えますが)」が一定程度存在しており、そこが減ることにはなっていませんね。ですから、そういった環境で努力を積み重ねられる人たちとの比較、相対的な学力という意味で新潟県の学力は低下することになるという表現になります。
     
    もちろん、大学受験も含めて「入試の多くを総合型(学力だけに頼らない選抜方法)に変えていく」という国の方針もあるようですから、例えば難関大学に数えられる東北大学は国の卓越大学として選ばれたことでも有名ですが、ここは入学者の半数以上を総合型にすると明言したりもしています。高校までの学力以外の取り組み(活動)が重視されることになっていくようですが、では明日・明後日にそれが実現するかといえばそうではありません。そのような(総合型重視の)流れ・傾向には注視しつつも、一方では学力の担保は行っていかなければならないのが現状です。
     
  2. 新潟高校はどうなるか
    ⇨昨年(2025年度令和7年度入試=令和6年度の中学3年生)から新潟県公立高校入試の問題が易しくなりました。結果、新潟高校を受験するような人たちは入試でかなりの高得点を取ることになってしまい、そこでは差がつかなくなり、最後の最後は内申点の差で合否が決まる・・・というような状況も少なからずあったのではないかと想像します。それはつまり高校合格後の高校での学習での大きな差につながっている可能性もゼロではないと思うので、入試問題はもう少し難しくするべきだとは思っているのですが、それはさておき一定程度内申点で合否が決まってしまう状況とすると、新潟市外の高学力者の方が有利な立場になりますね。
     
    ※とはいえ、合格にはこれ蔵必要だろうと思われる内申点よりかなり低い内申点で合格した、という話も耳にします。正確性は不明ですが、それが本当なのだとすると、あの優しめの入試問題でも思ったより得点できない人が増えていて、それほど高くない得点帯で内申点勝負が起こっている可能性があります。その場合、学習塾などで訓練を積んで本番で巻き返した、という人も一定程度いることになります。とはいえ新潟高校の理数科ではさすがにそれは起こりづらいですね。新潟高校理数科は、内申点もよくて本番の得点力があることが合格の必須条件となります。
     
    本来入試の問題は小・中の9年間で学習した内容の総まとめであるため、結果として数か月分に学習した内容が対象となる定期テストなどよりは難易度が高くなるのは当たり前のことです。定期テストの勉強を正しい形でやることができていない人が、入試形式の問題になったときに手が出なくなるのはそれが理由ですね。ですが、その入試問題が簡単になったことで、今までなら入試では苦労するような、それでも定期テストではよい点数を取ることができていたような人たちが入試問題でもある程度得点ができるようになります。そこで先ほどの話ですが、入試本番の点数では差がつかなくなるので結果として内申点が高い人の方が有利になる。
     
    新潟高校の300数十人という定員の中には、「新潟市内の地元の中学では1番2番ではないけれども5~10番くらいの立ち位置にいますよ」みたいな人も多くいるわけですが、その人たちは文字通り内申点が1番2番の人たちに比べるとやや低くなりますね。でも地方から新潟高校を受験するのは「新潟しないほど学力は高くないけれどもその中学校の中では1番2番です」みたいな人たちになるので内申点は抜群の状況であったりします。大げさではなくオール5みたいな人たちが新潟市外から越境して新潟高校を受験してくる。簡単になった入試問題であれば何とか苦戦せずに戦うことができ、あとは内申点の差で勝負を決することができる・・・そんな状況が想像できます。
     
    つまり、新潟市外から新潟高校を受験する生徒の有利な立ち位置は変わらず定員が減るわけですから、この定員減のあおりを食らうのは教育庁の考えとは異なり「地元の新潟市内の人たちではないか」というのが私の仮説になります。
     
  3. 長岡・三条・新発田は
    ⇨これはやや倍率が上がるかもしれませんが、結局は足を延ばして長岡・三条・新発田を目指す人たちが地元に戻るだけとなるので倍率は低いままではないでしょうか。長岡であれば柏崎・小千谷・三条のやや長岡に足りない人たちは地元に戻るか長岡大手⇨長岡向陵と舵を切りますね。結局長岡大手や向陵の倍率が上がるだけになりそうです。三条は難しいですね・・・諦めて吉田とかにはなりづらいでしょうから新潟南・新潟江南・新潟中央・明訓・第一あたりに流れるでしょうか。新発田は難しいですね、新発田南に流れるでしょうか。新発田南を避けたいという層もいるので、その人たちは新潟商業とか万代とかを目指しますか。いずれにせよ、各エリアのトップ高校の倍率はそれほど上がらないで終わることを予想します。それぞれのエリアも子供の数が減っていますしね。
     
  4. 高校入試とは離れた内容になりますが・・・塾の必要性
    そうなると塾はどうなるんですか?という話になりますが、新潟高校を含め、高校入試という断面においては塾に行っていなくても「合格はしますね」という状況が強まると思います。ただ、大切なのは高校に合格した後、まさに新潟高校を目指すような人たちが考えている「大学受験のための勉強」となったときに大きな差がつくと思います。特に新潟高校においては、合格者の半数以上が何かしらの学習塾に通っていることが想定されます(控えめに書きましたが半数なんていうレベルではないと思います)。その中で、より学力が高い人たちは、中学生のうちからより難易度の高い学習に触れ、場合によってはさらに先に進んだ学習に突入している場合もあります。
     
    それは学習塾に行っていなくてもできることですが、それを悠々とこなしていけるのは本当の天才だけ、まさに最初から最後まで塾などの助けが不要なごくごく一部の人間だけです。もちろんそういう人たちの多くは塾に通ってさらに鍛えたりもしていますね、学校の勉強だけでは退屈で仕方ありませんから。
     
    すると、(一部の天才型を除いても)早い人は高校入学段階で「高1の数学(数1A)は終わっています」とか「高2の数学(数2B)は終わっています」「中学のうちに英検は2級(高校学習終了程度)に受かっています」なんていう状況があり、それが入学後の差につながっていることになります。もちろん先に進むことばかりが是ではありませんよ。学校のペースでやっていくことの方が合っていて向いている人もいますから。でもそういう風にどんどん先に進められる人がいて、そうしている人がいる。
     
    すると、中学では1番2番です、内申点もほぼ満点です・・・さぁ満を持して高校の勉強を始めます・・・ではもう遅い可能性もあるわけですね。実際、首都圏の私立を中心とした中高一貫校はそういうカリキュラムですね。天下に名だたる灘なんて中学1年のうちに中学3年分のカリキュラムを終えて、中学2年から数1A・数2Bに入ります。そこからはペースは上げないようですが、じっくり3~4年かけて何度も復讐をしながら深めていく・・・だから灘は数学に強い。新潟高校は灘が3~4年かけてやる分を2年で終わらせますので、むしろ天才向けのペース配分ですね・・・ですから繰り返しますが中学のうちに数1A数2Bに触れられる人は、深くまでやる必要はないので触れられるだけでも触れて予習をしておくのが理想です。できる人は、です。
     
    そんなことを考えると、やはり中学校の勉強は余裕があるので塾に行く必要はありません・・・というのはややもったいない感じがしますね。中学校の内容に余裕がある人こそ、塾に通ってより深めて進めていくことができた方が勉強は楽しいと思いますね。塾選びは慎重に、ただ問題の解き方を形式的にパターン的に教えて、本質に触れないまま量だけをこなさせるような学習塾はNGです。それは「そういうやり方でしか目の前の壁を越えられな時」にしかやるべきではありません。
     
    ということで、塾は良い塾・良い塾の先生をうまく見つけてうまく選んでうまく使ってもらいたいと思います。

 

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