ということでYahooニュースさんの見出し、記事の出所は「The Gold Online」というところのようです。画像をクリックするとYahooのニュース記事に飛びます。タイトルとしては「中学受験なんてさせなければよかった」です。まぁビューを稼ごうという思惑がたっぷりのタイトルです。
お時間がある方はお付き合いください。きっと長いので。
さて。塾屋としては受験、特に中学受験においては相手の年齢が年齢だけに、我々が負う部分が多くなります。例えば、関西における中学受験の雄である浜学園・希学園あたりは、小5・小6くらいの子供達に対して、地方では考えにくいような通塾量・学習量を課しますよね。土日なんて10時間とか下手するとそれ以上の時間を拘束するのではないでしょうか。それだけ競争が激しいということなのだと思いますが、すごいことですよね。それでも、塾の時間を減らして家での活動に任せてしまった時に、果たして合格に必要な学習量を担保してもらえるとは限りませんし、家では親御さんが適切に管理監督できるとは限りませんので、子供たちにとっては大変ですが拘束時間を長くしたほうが(合格するという点だけにおいては)安心・安全なのですね。つき詰めた結果と言えるでしょう。
とは言え、実は、そのように塾でとても長い時間拘束される場合もそうではない場合も、家庭での親子の関わりであるとか、親の立ち居振る舞いの方がはるかに重要であると思っています(塾の現場ではあまり強く言えませんし、親御さんの指導なんて塾屋の埒外ですから普段はそんなことを声高には言いませんが)。また、(過保護になってはいけませんが)子供の年齢や精神状況に応じて適切な距離感で適切な関わりをすることがそもそもの親の仕事であり役目でしょうから、塾屋に預けて終わり、高額な塾費用を支払っているのだから全部面倒みるのが塾屋の仕事だろう?なんて思われるのはその方の自由ですが、それは正しい親のあるべき姿ではないということを指摘させていただきたい。
ということで今回の記事の中身は、「中学受験」という適度に良い意味でも悪い意味でも注目を浴びやすいワードでオブラートに包んだだけの、実質は「親のあり方」についての失敗事例が取り扱われているだけなのにもかかわらず、なぜかタイトルにはほんのりと「中学受験アンチ」みたいな雰囲気を醸し出しているのがずるいな、と思った次第です。今回の間違いは、中学受験に関係なく親の子供との関わり方のミステイクでしかなくて、このタイトルは別に中学受験である必要はないです。例えば子供が野球をやっていて、せっかくならと野球に力を入れているクラブチーム~高校と進学させたがレギュラーになれず、2軍にも入れない状況が続いて心が折れていく子供に気づくことができず・・・みたいな言葉に置き換えたって成り立つ話なんですよね。野球で生きていくには〇〇高校に入って甲子園に行かなければならない、〇〇高校に入ってしまえば大丈夫だろうと思ったが・・・と。ですから、この記事のタイトルを置き換えるとしたら「中学受験に子どもを送り出す親のやってはいけないこと」とか「親がやるべきこと」のようなタイトルにして、中学受験を考えている親御さんにとって参考になる話をそのタイトルの通りにまとめてあげるべきでした。
ただ、編集部・編集者に同情せざるを得ないのは、このような程度の低い記事のタイトルや記事の内容にせざるを得ないのは、そうでもしなければ記事を見てくれる人が増えず、稼げないからなのだろう、というところ。炎上商法に近い、というか。それに煽られる人も良くないですが・・・あ、私も煽られてますか?・・・そのような記事しか書けない記者も編集部も情けないものです。正しい情報を正しく届けてもらいたい。受験に限らずどのジャンルにおいても、です。せめて、より公共性の高い新聞社が出す記事はそうであってほしいですが、この「THE GOLD ONLINE」は「幻冬舎」という出版社が出している記事なのですね。幻冬舎の代表の方(見城さん?)の言葉らしきものがWikiに掲載されていますが「「売れるものなら何でもいい」が説得力を持つのだと密かに自負している。その奥行がないのに”売れるものなら何でもいい”なんて言っているやつには売れるものなんて作れないと語っている」だそうですが、今回の記事には奥行きはあるんでしょうかね。非常に薄っぺらいように感じてしまいました。