とあるYahooニュースへのとある方のコメント。
Yahooニュースのコメントほど見てはならないものはないと思っているのですが、その中でも「プロフェッショナル」というマークがついた人のものは、正しいかどうかは別として、それなりに経験を積んだ方の意見や視点であるので(自分でしっかりと客観的に受け止めるなり流すなりする視点を忘れずに持ちながら)、目を通しても大丈夫なものと感じています。その中で今回のこれ。ニュースの文脈とはやや視点がずれるのです「切り取り」をしてしまうかもしれませんが、恐れずに切り取ってみます。
取り上げられる華々しいスポーツ選手、売れっ子歌手や芸人、医者、弁護士など、わかりやすいキャリアは、ほとんど99.9%の人には関係のないロールモデルです。
この部分はまさにその通りであると感じるからです。私は「学習塾」という業界に長く身を置いていますが、それはまさに、子供たちが上記のような「学力が必要となる職業」を志した時に、多くの場合、すでにその道が絶たれている場合が多い・・・子供たちが「学校の先生になりたい!」と思ったところで、実は学校の先生はそう簡単になれる職業ではないわけで、それでしっかりとそこから努力をすれば・・・と大人は思いますがその努力ができない人も多い・・・そんなときの助け舟になれば、という思いがあるからです。そこで大人は自らのそういった成功も失敗も含めた体験・経験をもとにして「志が大切」とか語るわけです。成功した人がそれを言うのはいいかもしれません。でもそれができるのなんてこの記事があるように一握りです。失敗した人が言っても説得力がありません。つまり、そんな子供のころに大きな「夢」や「志」を立てることができるような人は、そしてその「夢」や「志」に向けて若いころから努力を積み重ねられるような人たちは、放っておいてもそうなっていくわけです(多くの場合は)。そしてそうではない、つまり「夢」や「志」を持てない(持てなかった)人に『「夢」や「志」を持ちましょう、1回きりの人生ですよ』なんて言って「夢」や「志」を持つことを強制することはどれだけ残酷なことか。
いろいろな体験や経験を通じて自然と「夢」や「志」を持てるように導いていってあげることは大切でしょう。そういったことをせずに『「夢」や「志」を持ちましょう』というのは非常に危険だと思います。そして、「夢」や「志」を持つことができないまま大人になった人が、子供に対してより自然な形で「夢」や「志」を持てるように導いてあげることができるかどうか・・・私は否だと思います。いや、100%の否定ではありませんがそう簡単なことではない。だから、スローガンのように『「夢」や「志」を持つことが大切です!』という人やその集団については私は懐疑的です。目的と手段が逆になってしまう。
それなら。それなら、このコメントの方が書いているように、そう簡単に手が届かないスペシャルな職業を「夢」や「志」として語るだけではなく、今のほとんどの人間が関わるであろうジャンルの職業についての職業教育のようなものもちゃんとやって、そのうえで大きな大きな「夢」や「志」を持った人間のサポートもできるようにして・・・というようにやっていくことが大切ですね。小学校や中学校は地元の会社の職業体験のような形で、様々なジャンルの会社の仕事を体験させるようなプログラムをやっているようですが、その手前のところでの上記のような導きがあったとしても、まだ小学生や中学生の子供たちがどれほどそういうことに興味をもってプログラムに参加しているかというと実際は「やらされている」のが現状だと思いますよね。職業教育から始まる=「夢」や「志」から逆算した教育、理想的だとは思いますがそう簡単なことではありませんね。