医学部の闇


画像は朝日新聞の記事より、リンク先も朝日新聞の記事

医学部のというのが正しいのか、医療業界のというのが正しいのか・・・全く持って闇ですねぇ。

 


 

入試の闇ということにもつながるのだと思いますが、多くの方にとって入試というものは高校入試であっても大学入試であっても「通り抜ける儀式的なもの」程度のものなのだと思います。それが近づいてきたところで、今いる位置からそう遠くないところを「目指す」的な「最低限の努力」的なことはすることが多いのでしょうが、そこに向けて半年・1年・数年かけて・・・ということはあまりないのが一般的なものでしょう。ただ、将来の目標が小さいころから明確な場合、かつその目標を達成するには勉強を頑張らないといけない場合・・・というものがあります。その象徴的なものが「医師への道」だと思います。これから人口減が見える将来に向けてはどうなるかはわかりませんが、少なくとも現時点では医師になれば(とんでもない忙しい仕事ではありましょうが)安定した収入を得ることがかなり高い割合で約束されます。また「人の命を救う」というまさに医師にしかできない、誰からも尊敬されるような立場にもなることができます(激務ですが)。

結果として、医師の道はとんでもない競争となり、それが日本の受験戦争の象徴にもなっていると言えます。その際たるところが「東京大学の理科3類(いわゆる理3)」になるわけですね。全国の秀才のわずか100名程度しか到達できない、医学部医学科の最高峰があって、それ以外であっても医学部医学科は軒並み合格難易度が高く、並の努力と並の能力ではそこに合格することはかなわない最難関の試験を突破しなければならないことになります。結果、小さいころから医師を目指してとんでもない努力をする人、言葉は悪いですが「常識を外れたような努力?行動?」をとってでも医学部に合格して医師になりたいと思う人は少なからずいるわけで、またそれを悪用するような輩もいるわけです。残念なことに。

例えば。何としてでも医学部合格を目指す人を対象に、とんでもない高単価な授業をとんでもない高額で売りつける塾や予備校があったり、今回話題になっている東京女子医科大学のように医学部医学科の中では合格難易度が最低レベルである一方、寄付金の多寡によって合格難易度が変わるという「金で地位を買う」ことを許容するような仕組みを公然とやっている大学があったり、またそういった仕組みの中で私腹を肥やす輩がいたり・・・ということになりますね。

とは言え、どんな形であれ医学部医学科に合格した後、最後の最後に医者になるには「国家試験」が待っているわけで、これに合格しない限りは医者にはなれないことに変わりはありません。入り口で不正をした人間がいたとして、本当に医者になる能力がなければ医者にはなれない(はず)ですから、そこはまぁ信じたいものです。駿台予備校が提示している医師国家試験合格率の資料があります。これによると、東京女子医大の生徒は現役で「96.3%」が国家試験に合格していますので、学校のごたごたとは関係なく、中の生徒たちは必死で頑張っていることがわかりますね。かの東京大学なんて、受験勉強の延長で頂点を取りたいがために受験するだけで医師になることには興味がない人もいますので、現役の合格率は「94.1%」です。東京女子医大より低い(受けてすらいない人もいるということだと思います)、国公立の中でいえばいわゆる「旧帝大」というカテゴリに入ってくる=難易度が高い「九州大学」に至っては「88.2%」です。ということで、入試に関して怪しいことをしている雰囲気がある東京女子医大ですが、ちゃんとした入試を突破して、医師になるという高い志を持って努力をしている人はしっかりと国家試験にも合格しているわけで、今回の件を持って東京女子医科大学すべてが悪いということにはなりません。膿を出しきって「正しくないことをやっていた人間を排除し、正常な状態にする」ことが大切なのだと思います。

しかし、塾屋としてこういった業界に身を置いている人間としては、こういうことはあってはならないと思いますね。子供たちの夢を汚さないでもらいたい。大人はもっとしっかりしなければならない。心からそう思います。

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