いよいよ、「踊る」がファイナルとなりました。
見るかどうかは別にして、お盆明けからちょっとずつ「踊る」を振り返ってきました。
テレビ本編11話~The Movie1~The Movie2と。
The Movie3は今年に入ってから見たばっかりだったのと、あまりの雑然としたつくりに辟易していましたので見返す気にはなりませんでした。
テレビ本編新しい刑事ドラマを創るというやる気がひしひしと伝わってきて、俳優陣がまだまだ若かったことも手伝ってか熱い、コミカルさの中にも真剣さが見られるような、緊張感のあるドラマであったなぁと。警察庁・警視庁、本店・所轄・・・なんていう言葉がとても新鮮に聞こえたのを今でも覚えています。
中でも好きなキャラクターは、主人公の青島はもとより、やはり堅物の室井と和久さん。(あえてちょーさんではなくこう書きますが)和久さんが故人となってしまった時は1つの大きな時代が終わった感じがして本当に寂しかったものです。
テレビ本編はほとんどリアルでは見れていなかったことと、スペシャル版やスピンオフ版はほとんど目にしていないので大ファン、マニアとはいえないわしですが、大好きなドラマであるのは間違いありません。
あれから15年がたつのですね。
The Finalとなり、室井さんの登場シーン、室井さんの黒髪に白髪がちらりと見えたあたりに時代を感じました。The Movie3の最後で紹介されていた通り、署長が代わっているわけですが、その署長もそれなりに年齢を感じさせる、署長といわれれば(軽さはあるものの)「まぁそうかも」と思えるような年齢になっていました。そう、自分も含めて、やはり「踊る」は「ラストダンス」にならなければならない時期に来てしまっているんだと思います。良い悪いではなく、時の流れなのでしょうね。
改めて見直した本編とThe Movie1の面白さ。それに対してサイドストーリーの騒がしさとキャラクターの騒がしさで本編が薄っぺらくなってしまって面白みを感じなかったThe Movie2と3・・・果たして今回は・・・期待と不安が交錯するまま、映画館のシートにつきました。
さて、The Final。(ネタばれ含む)
◆出だしは良い感じ、踊るらしい入りでした。期待が持てます。入りで掴んで、ここ2作はここからおちゃらけとサイドストーリーがぐっと前に出てくるところですがそんな様子はありません。鳥飼さんが管理缶として本部長になってきたのには驚き。一方で室井さんは前作より出世はしていない模様。相変わらず胡散臭い会議室と現場が対比されるように話が進んでいきます。
◆前半戦でほぼ物語の答えとなるようなシーンが出てきますが、ここ、もう少し何とかならなかったものでしょうかね。狙いでしょうか。ここをもう少しうまく作れれば、最後にあっと驚かせることもできたのかなと。
◆おちゃらけっぽいシーンは前半にちょいと出てくる缶ビールのくだり。ワンさんが良い味出していますが、「もういいよ」とならない程度の出方なので気になりません。それから、途中、瞬間的に「バナナ押し」のシーンが出てきますがそのときはまだそれほど違和感を感じません。真犯人である(ビックネームの)彼が出ているCMを考えると・・・なるほどなぁ・・・スポンサーかぁ・・・と軽くしらけてしまうのはわしだけでしょうか。今回の一番残念なところはそこでしょうかね。
◆2つの事件が絡み合い始め、新たな事件が起こるとき、ここ2作どころかThe Movie1とも異なり、1つのしっかりとしたストーリーを中心に話が進む構成になっていることに気がつきます。鳥飼さんが嫌な立ち位置に行ってくれることで、踊るの歴史を作ってきた中心メンバーをより安心して見守ることができるようになります。
◆前作で現れたメンバーがそれなりの立ち位置にいて個性を発揮しながら、けれども青島・室井というメインとなる2人の絡みの邪魔にならないところでうまく引き立ててくれている、そんな印象・・・本当ならやっぱりここに和久さんがいて欲しかったなという気持ち。そして驚くほどすみれさんの印象が薄かったなという感想ではあります。けれども、青島・室井の2人に集中できます。
◆いよいよ終盤、鳥飼さんが放った言葉で、クライマックスが近づいていることがわかります。さぁそのわなをどうやって潜り抜けるのか、最後の期待と不安です。・・・もう1つありました。真犯人の彼、あれだけのビックネームをどうやって扱うのかという心配。彼が前に出始めると「踊る」が「踊る」ではなくなってしまうのではないかと思っていたのです。これが「The Final」でなければいいのですが、なんと言っても15年の総まとめです。彼に耳目が集まってしまってはいけないのに、あれだけの存在感のある日がどうやって捕まってくれるのか・・・ハラハラです。
◆いよいよそのシーン。彼に関わるスポンサーの宣伝と思われるキーワードとシーンがぐっと前面に出てきてけっこう引いてしまいました。残念。そして、かなり無理やりな終わらせ方・・・。すみれさんがすみれさんらしくない、まったく違う雰囲気でのカットインになってしまった。非常に残念。ただ、そのおかげで犯人の彼が目立つことなくフェードアウトしていってくれたのはありがたい限り。
◆けっか、ここからまだ少し話は続くのですが、青島とすみれの関係に決着がつくことは無く、それよりもここからのラスト数分(10数分かな?)、すみれさんが現れることが無かったのには拍子抜けしました。途中まではそこが今回の話題の中心なのか?それもありだぞ!くらいの流れでしたから。ほんと、このシーンがもったいなかった。CGもチープだったし。
◆そしていよいよラスト。こちらが「最後だ」と肩肘を張るほどの緊張感やお涙頂戴はありませんでした。お笑いもありませんでした。なるほど、確かに「踊る」らしいフィナーレです。いろんな事件があれど、ラブストーリーになりそうな青島・すみれの関係もあれど、そうそう、これは青島・室井のお話なんですよね。最後はそこなんです。で、そこもまだまだこれから2人の関係は続くんだろうなぁ、と創造させてくれる程度の終わり。
◆ちょっと拍子抜けしそうなくらいにも見えましたが、ここから先の踊るは見た人みんなの心の中にあればいいんです、ということなのかと受け止めました。そうするとなんだかほっとした感じです。ばしっと終わった感を前面に出されたら悲しかったでしょうから。いい終わり方だったと思っています。
◆エンドロールが流れ始め、ほぼ席を達人はいませんでした。きっとその先に何かがあるんじゃないか、15年続いた踊るへの最後の期待でしょうか。みん
な踊るが大好きなんだろうな、と思うのと同時に、どの物語にも決定的な決着がつけられていないことで、最後のどんでん返しに期待してしまうようなそんな雰囲気が漂っていたような気もします。
◆そんな雰囲気の中、エンドロールは今作と今ままでの作品の名場面を記念写真のように写しながらたんたんと流れていきます。小林すすむさんへの一言があり・・・できれば和久さんへの一言も欲しかったですが・・・たんたんと流れていきます。そして、何事も無かったかのようにエンドロールは終わり、館内には明かりが戻りました。
◆ほんと、また何年かすると「踊る」が戻ってくるんだろうな、と思ってしまうような・・・別に期待感をあおるような演出などは一切無いのですが・・・それほどまでに自然な終わり方でした。でも拍子抜けではなく、一定の満足感があります。そしてこの満足感は安定して続いていってくれそうな、そんな満足感です。きっとまた何ヶ月か何年かしたら、踊るを見返すんだと思います。懐かしみながら。