携帯料金値下げの真意

 

◆さて、本当に値下げするのか、いつの話になるのか分かったものではありませんが、今回は国が、大臣が言及した内容で有識者会議を経て、となるので前身はするのかなと多少の期待感は持っておりました。でもやはりちょっと不安です。

◆そしてこの記事、「前向き」というキーワードからは安心感が伝わってくるのですが、会見で出てきたキーワードを見ると、

分かりにくい点、不公平とされる点など改善が必要なことはやる

と書いていながら

料金プランの多様化を通じた料金の引き下げを前向きに検討する意向を示した

となっています。これは社長が阿呆なのか記者の表現がうまくないのかそれともただの言葉の綾なのか・・・わしの理解力がないのかもしれませんが、消費者の「分かりにくい」というのは「料金体系の複雑さ」に起因していると考えると、それを「多様化する」ことで引き下げというと聞こえはいいですが、「複雑さは変わらないのではないか?」という不安を感じてしまいます。

◆もちろん、真意は「分かりやすく多様化する」という意味なのでしょうが、SoftbankがiPhoneを出すあたりから始まった(印象がある)、「安くはするけれども」の「けれども」がたくさんつくことでうまくやらないと実は安くはならない(うまくやっても実は安くならない)&期間の縛りなどがあってそこから抜け出せないという罠が待ち構えているという今の料金体系の中で踊らされ続けてきた我々にとってはにわかには信じがたい印象ですね。

◆もはや移動通信網は必須のライフライン。なくても何とかなると言うのはごく一部の人で、生活におけるある程度の不便を受け入れられる(我慢できる)ことができる人だけ。ただしその人も周囲の人とのお付き合いや関係性があるわけですから、そうやって考えると周りの人の基準で考えるともはや携帯電話(スマホ)を持っていないことが(本人にとっては問題がなくとも)周囲にとっては迷惑ですらある場合があるわけです。そうやって考えると毎月1人あたり最低でも5,000円、家庭当たり最低でも10,000円、子供や祖父母も加えると20,000円以上の支出となるわけですよね。加えて端末購入代金を加えるととんでもない額です。同じく必須のライフラインである光熱費と比べるとお高いなんてもんじゃあない訳です。

◆とは言え、通信会社や端末メーカーはその収益の中で国外の会社と競争して勝っていかなければならい部分もあるのが今の世の中。いつまでもAppleを信奉しているだけではダメだと思うのです(良いものは良いので否定はしませんが)。となると、ある程度収益性を保ってもらい、国外での競争力を身につけてより大きく成長してもらい、結果として国内のユーザーのメリットとして跳ね返ってくる、というのが理想なのでしょうが、今は日本の通信会社も端末メーカーもそうはなっていないわけです。そうはなっていない理由は自身たちにもありましょうし、もともと国の会社だったわけなので国にも責任がありましょうし、そして今回その責任の一端を担っていた国が出した「値下げ」という提案が果たしてそれらの企業が国外に出ていくことができない原因をさらに作るとしたら・・・残念な話でもあります。

◆そうやって考えると、「値下げ」を指示して、特に選挙に興味関心がないといわれる若い世代=携帯やスマホを利用していて金額の高さが直接ネックになっている世代を中心に強くアピールして、国民の興味関心を政治ではなく与党・自民党に引き寄せて次の選挙に有利な条件を作ろうとしている・・・的ないやらしい意図が見え隠れするのがまぁいやな感じですね。2014年12月が総選挙でしたから、携帯料金値下げの話が出て、それがこれから具体化していくとして、ちょうど次の選挙の前あたりにはそれが具体化して・・・みたいな流れですかね。いいんだか悪いんだか・・・。